般若のイレズミ 和彫りのジャンル
もともと般若とは、仏教において悟りで得た智慧のこと。般若心経や般若波羅密などの言葉に用いられる仏教用語。『般若面』という名前の由来は諸説あるが般若坊という僧侶が作った説、もうひとつは源氏物語の葵の上が六条御息所への嫉妬心に悩み、その生怨霊に取り憑かれた時、般若心経を読んで御修法を行い怨霊を退治したことから般若が『面』の名前になったともいわれる。刺青でいう『般若』とは能楽で使われる『恨みや嫉妬に狂った鬼のような形相をした鬼女』のこと。能の世界では、狂気をまとった恐ろしい女性を般若の面を着けて演じられている。般若の面は赤、白、黒の三つがあり、赤が最も強い怒りを表し、白は表情が柔らかく最も上品、黒は下品な鬼婆。般若面は2つの表情があり、上部分は苦しみや悲しみの表情、下の部分は怒りを表す。地域によって般若面は邪気を追い払う厄除けにも使われたり、今の心境や喜怒哀楽を素直に表す鏡の面ともいわれ、TATTOOのモチーフとして幅広く用いられる。